前に読書記録を書いてから、もう2か月。
あのときから何冊か読んだのに、気づけば感想を書けずに時間が過ぎていました。
だから今日は、素直に言葉にしやすかった一冊から。
「そのマンション、終の住みかでいいですか?」をご紹介します。
原田ひ香さんの本は、「三千円の使い方」のときにも書いたけれど、やっぱり読むたびに“続きが気になるスイッチ”を押されます。
ページをめくる手が止まらなくなる感じ。
今回もそれぞれの登場人物が自分の視点で語る短編集で、最後には線がつながっていく。
ひとりひとりの人生の“後悔”と“リベンジ”が、老朽化したマンションを舞台に静かに交錯していく物語でした。
最近、住まいについて調べることが増えていて、特に中古マンションを中心にいろんな情報を集めていたから、
この作品は現実の延長線上みたいに読めました。
デザイン重視のマンションや、背の高いタワーマンション。
数十年後には再設計が難しい建物も多くて、私の住む街でも規制がかかっていると聞きます。
“終の住みか”という言葉を目にすると、まだ30手前の私でも、どこか遠い話ではなく感じるのが不思議です。
内見をしているとき、元は高級マンションだったけれど築45年以上で手の届く価格になっている物件に出会うことが多くて。
それを見ながら、半世紀先の自分を想像してみました。
親族の長寿率でいえば、あと70年は元気かもしれない(笑)。
そう思うと、どうせなら“死ぬまで一緒にいられる家”がいいのかも、なんて。
でも実際に内見を重ねるうちに気づいたのは、私が“好き”と思うデザインや質感は、意外と70年代のマンションに多いということ。
エントランスの静けさとか、天井の高さとか、ドアの取っ手の冷たさとか。
どれも少しだけ古くて、でも温かい。
“終の棲家”なんて言葉を現実的に考えるにはまだ早いけれど、
この本を読んだあと、また内見熱が静かに再燃しました。


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